門職の立場から整えるバックアップ体制
長崎市在宅支援リハビリセンター推進事業がスタートして、4月で3年目を迎えました。
在宅支援リハビリセンターは、長崎市内にある地域包括支援センターをバックアップする拠点となります。
具体的には、2~3カ所の地域包括支援センターを含む長崎市内を8つのエリアに分け、在宅支援リハビリセンターが選定・委託され、当院はその中のひとつになります。当院が担当しているエリアは桜馬場、片淵・長崎、大浦地区になります。
以前から地域包括ケアシステムを支える仕組みはありましたが、ひとつの拠点が抱える範囲が広域過ぎるという課題がありました。
住民の声やニーズが、より届きやすい環境を整えようと、ひとつの拠点が支える範囲をできる限りコンパクトに設定している点が、この事業の特徴でもあります。
センターが担う業務内容

※ 長崎市在宅支援リハビリセンター推進事業の業務内容
① かかりつけ医との連携づくり
② センター外部のリハビリ専門職との支援体制の構築
③ 介護従事者等のリハビリテーションに係る知識および技術の向上を図る
④ 介護従事者等のリハビリテーションに係る相談への対応および同行訪問
⑤ 高齢者の自主的な活動への参加促進

は5項目あります。例えば普段、住民の皆さんが関わる機会が多いのは私たち専門職よりも、
かかりつけ医やケアマネジャーではないでしょうか。定期的に開かれる地域ケア推進会議には、そういった地域の実情を把握されている方々が参加されます。私たちも会議に参加して、皆さんと課題や問題点を共有し、議論を交わしています。
地域ケア個別会議の中では、私たち専門職は助言者の立場。自立につながるためにどのような取り組みが必要なのか、
アドバイスするオブザーバーとして参加します。
具体的なひとつの例として「磨屋サロン」は、地域課題について意見交換を行う中で実現したサロンです。
同じように高齢者が集い、交流できるサロンは長崎市内に

平成29年7月31日現在把握している長崎市の高齢者ふれあいサロン設置数。

200カ所以上
あり、形態はいくつかに分けられます。
ただし参加者は、元気な方がほとんどです。障害がありながら、日常生活を送られている方もたくさんいらっしゃるので、
そういった方が集まれる場所もつくらなければと思っています。
いずれにしても、もっと多くの方に参加していただくためには、より細かな単位で多種多様なサロンを増やす必要があります。
数を増やすためには、つくるだけでなく継続も大切。そして継続するためには、住民の皆さんが主体となって運営するサロンが、増えなくてはいけません。「磨屋サロン」についても、現在は当院と養護老人ホーム延命園が中心となって運営していますが、今後は自主運営に移行することが望ましいと考えます。
高齢者の皆さんは役割を任された時、とても生き生きされます。些細なことで構いません。“役割”を生むという意味でサロン運営は効果的ですし、住民の皆さんが何気なく行う一つひとつの役割が、地域リハビリテーションの実現に向けた支えにもなります。
地域リハ推進部副部長
本田憲一
地域リハ推進部の本田副部長は日頃から、地域包括支援センターと連携を図っています。
域リハビリテーションの未来を育む仕組みづくり
医療・介護に関わる方々のネットワークづくりや、リハビリテーションの知識および技術向上のサポートなども、在宅支援リハビリセンターの大切な業務です。専門職の立場からケアマネジャーや介護事業所の方にアドバイスを行ったり、彼らの自宅訪問に同行したりすることもあります。目指しているのは、地域包括支援センターをはじめとする地域リハビリテーションに携わっている皆さんが、困ったとき気軽に相談できる窓口の役目を担えるようになること。未来につながるネットワークを形成していきたいと思っています。
地域リハビリテーションは、国や地方自治体をはじめ、ますますその重要性が認識されつつあり、その支援体制の強化が全国的にも進みつつあります。私自身、地域リハビリテーションの礎を築いてこられた全国の医師、専門職の先輩方に接する機会に恵まれ、想いを次代に継承する責任のようなものをひしひしと感じるようになりました。先輩方に共通しているのは、患者さま一人ひとりを大事にしつつ彼らの課題を整理しどのような取り組みができるかを提案し続けているところです。地域リハビリテーションマインド(志し)を受け継ぐ一人として、地域リハビリテーションがさらに普及していくための仕組みづくりを、積極的に進めていかなければと思います。
始動!
長崎リハ

未来塾

「生活期リハビリテーションでの取り組み 利用者の人生を支えるために」をテーマに実施した長崎リハ未来塾第3弾の模様。
職員の地域リハビリテーションマインド(志し)をさらに深める目的で、「長崎リハ未来塾」が始まりました。第1回から4回までは全職員を対象にした講演形式の研修を行い、今後はチーフ以上の幹部によるグループワークを実施。グループワークは「地域リハビリテーション」に対する捉え方について改めて想いを共有し、ひとつにまとめるための取り組みになります。